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本記事では、以下のような悩みを解決します。
- レポートの課題が出されたけど、なにから書けばいいのか全くわからない
- 評価される書き出し方を教えてほしい
実はレポートの書き始め方には、おおよその「決まり」があります。それは、
書き出しの部分で、レポートの「目的」と「全体像」を書く
ということです。
この「目的」と「全体像」はなぜ必要なのか。そして、どうやって書けばいいのか。本記事でくわしく解説します。
目次
レポートの書き出しで書くべきこと
書き出しといえば、有名な小説の冒頭、
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。
川端康成「雪国」
メロスは激怒した。
太宰治「走れメロス」
これらは誰もが一度は聞いたことがあるんじゃないでしょうか。
どちらもインパクトのある1文目なのでさらに次が読みたくなる。文豪の、読者をひきつけるテクニックです。
このように文章を書くときには、
読み手に「読んでもいいかな」と少しでも思わせる
ことが必要です。でないと読むほうは苦痛ですから。
とはいえ、レポートでは偉大な文豪のようなセンスなんぞ必要ありません。同じように必要なのは、「読み手への気配り」です。いかにスムーズに読んでもらえるかを考えることが大切です。
では、どうやればスムーズに読んでもらえるか。
その答えは、以下の3つを冒頭で意識して書くことです。
- そのレポートの「目的」を書く
→何について書いてるの?なんでそのテーマにしたの? - そのレポートの「全体像」を書く
→本文でどんなふうに論展開してるの? - そのレポートで重要な「概念」を説明する
→どういう意味なの?
以下で詳しく解説します。
レポートの目的を書く
根本的なことから説明すると、レポートや論文を書くのは、
- 世の中をより良くするため
- 世の中のことをより深く理解するため
だと言っていい。だから、レポート・論文のテーマには、必ず「目的」があるんです。その目的や意義というのは、分野によって違いますが、
- 社会的な問題を解決するため
例 地球温暖化を防ぐ・少子高齢化を止める - 違う意見の人を説得するため
例 安楽死を認めるか・自衛隊は憲法9条に反するのか
などです。
レポートや論文では、この「目的」を冒頭で必ずかきます。そうしないと、読み手が何のための文章なのか分からないまま手探りで読むことになるからです。
目的の書き方
そして、目的には書き方があります。それは、
背景→問題→主張
の順に書くことです。具体的には次のとおりです。
- 背景
「近年、こんなことが起こっている」 - 問題
「そうすると、〇〇が問題になる」 - 主張
「したがって、〇〇について論じる必要がある」
- 背景
「〇〇は~について論じている」 - 問題
「しかし、〇〇については詳しく検討されていない」 - 主張
「したがって、〇〇について検討することが必要である」
このようにある程度はテンプレ的に書くことができます。
※ここでは目的を書く重要性を訴えました。がしかし、「ただ授業で学んだことをまとめるだけのレポート」「授業の感想レポート」では、そもそも目的がないと思うので、そのへんは臨機応変に。
1 はじめに
原田 禎夫「プラスチック汚染にどう立ち向かうのか―社会的営業免許(SLO)の可能性をさぐる―」
近年,プラスチックごみ問題が新しい地球環境問題として注目されている.陸域から海域まで様々な地域でマイクロプラスチックが発見され,多くの生物の体内に取り込まれていることが報告されており(Kühn et al., 2016),人体の健康への影響も懸念されるなど,問題への社会的な関心も高まる一方である.
1. はじめに
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震、2016年4月14日・16日に発生した熊本地震では、原材料や部品、資材等のサプライヤーやグループ子会社が被災し、供給が滞ったために多くの企業で生産活動が停止に至った。一部は、国内だけでなく海外工場の生産にも影響を及ぼし、サプライチェーンのリスク管理の重要性を再認識するきっかけになった。(以下略)
青地忠浩「サプライチェーンリスクマネジメントのフレームワークと実例」
レポートの全体像を書く
レポートを書いた経験がない人にありがちなミス。それは、考えたままの順序で文章にしてしまうことです。例えば、
ダメなパターン
こんなことがあって~、そしたらこうなってさ~これこれで、最後こうなったんだよね。
このように結論を最後までひっぱった文章だと、読んでいる人に、
「もったいぶるなよ。はやく結末を教えろよ。」
って思われてイライラさせるだけ。レポートはミステリー小説じゃないので、オチなんていりません。
したがって、書き出し部分で大切になるのは、最初に軽く「ネタばらし」をすることです。レポートの「全体像」を最初に伝えるのです。
良いパターン
簡単に話すとこんなことがあったよ~。くわしく話すと、これがこうなって~こうこうで~、最後こうなったんだ。
このように、最初に軽く全体像を話して、くわしく言いたいことは後で話せばいい。文字数の少ないレポートはいらないこともありますが、文字数の多いレポートは必要です。
レポートの全体像の伝え方
具体的には冒頭の部分で、次のように言っておくといいです。
「本レポートでは~について論じる」
場合にもよりますが、全体像は「目的を書いたあと」に書くとうまく文章がつながります。
また、全体像について書くときに、
「〇〇を論じるためには、〇〇についても考えないといけない」
「~に焦点をあてて〇〇と〇〇を比較し、〇〇について考察することにする」
のように、どこを論点に議論していくかを説明することも大切です。
はじめに
本論ではウェブサービスへの一般ユーザーによる投稿に端を発した炎上を考察する。炎上とは、ブログ、ミクシィ(mixi)、ツイッター(Twitter)などに投稿されたメッセージ内容、ならびに投稿者に対して批判や非難が巻き起こる現象を指す。当初、炎上は電子掲示板2ちゃんねる内の出来事や話題の一つに過ぎなかったが、度重なる発生に伴い現象への認知も高まり、ウェブのニュースサイト、マス・メディア、雑誌、新書など様々な媒体で言及されている。
平井智尚「なぜウェブで炎上が発生するのか」
重要な概念を説明する
そのレポートで論点となるような重要な概念がある場合、その意味をはじめに確認しておきます。この概念というのは、たとえば、
- 人によって定義の違う概念
- 専門的すぎる概念
などです。
このような概念は、はじめに説明しておかないと、意味があやふやなまま読み進めることになる。そして、自分がその文章で言いたいことがうまく伝わらなくなる。
冒頭のどのタイミングで書くかはどうであれ、最初の部分で触れておかないといけない内容なのです。
概念の説明の仕方
たとえば、「集団間紛争」について論じるときに、読み手がその用語についてくわしく知らないかもしれません。このような場合は、
「〇〇とは、~のことをいう」
というように説明してから、本題に入ればいいです。
ただし、
- その分野では常識的な概念
- そこまで重要でない概念
だったら冒頭に書く必要はありません。
最初から言っていることは一貫してます。読み手がスムーズに読めるように意識すればいい。書くか書かないかは、想定している読み手のレベルに合わせればいいんです。
1. 集団間紛争における感情
集団間紛争(集団間葛藤,intergroup conflict)とは,集団と集団が争った状態を指している。戦争や民族紛争が代表的なものであるが,組織内の部門間対立や不良集団間の諍い,さらには近年問題視されている他国民・他人種へのヘイトスピーチなども一種の集団間紛争である。
縄田健悟「“我々”としての感情とは何か?─集団間紛争における感情の役割を中心に─」
まとめ
本記事では、レポートの書き出し部分で、
- そのレポートの「目的」を書く
→何について書いてるの?なんでそのテーマにしたの? - そのレポートの「全体像」を書く
→本文でどんなふうに論展開してるの? - そのレポートで重要な「概念」を説明する
→どういう意味なの?
この3つを含めることの重要性を力説しました。
しかし、
「その3つが大切なことはわかったけど、もっと具体的な書き方を知りたかった」
という人もいるはず。そんな人のために、実践的な書き方をほかの記事で書いているのでそちらもどうぞ。