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本記事では以下のような疑問を解決します。
- 感想レポートってどんなふうに書けばいいのか
- 書き方を具体的におしえてほしい
- 例文をみせてほしい
レポートは読書感想文とは違う。
「おもしろかった。驚いた。」
なんて感想は高校生までにしておきましょう。素直に思ったことや感情を書いても稚拙な文章しかできあがらないってのは、感覚的に分かるはずです。
しかし、それならどんなふうに書けばいいのでしょうか。
その答えは「論理的に」書くことです。
本記事では、「感想レポートを論理的に書いてみないか」という提案をします。そして論理的に感想レポートを書く方法を伝授します。例文もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
レポートは論理的でなくてはならない
レポートは「論理的に」書くのが基本です。
でも、論理的に書くってどうすればいいのか。
論理的に書くというのは「理由や筋道をしっかりと書く」ということ。すなわち結論にいたるまでの過程をしっかりと書けばいいんです
ただ、これだけだと書き方が分からないと思うので、具体的な方法を紹介します。それは文章を書き始める前に、次の2つの準備をするのです。
- 一つの「問い」を設定する
- 「なぜ?」をくりかえし、その答えを集める
今回はこれらを使って、感想レポートを書いていきます。
でもその前に、なぜこの2つが重要なのか詳しく知りたい方のいるでしょう。そんな方は、論理的なレポートの書き方をどうぞ。
レポートにおける論理性とは|理由や経緯をくわしく書くことでレポートは論理的になる感想レポートの書き方
では、一から実際に書いてみましょう。
今回は『走れメロス』の感想文を書くことにします。本を読んでの感想レポートですが、講義レポートも同じようにすれば書けるはずです。
書き方は以下の3ステップです。
- 問い
- 答え
- 過程
さぁそれでは、ぱぱっと説明していきましょうか。
問い:「問い」を自分で設定する
まず最初に、「問い」を自分で設定します。ここでは、
冒頭文「メロスは激怒した。」にこめられた作者の意図とは何だろうか。
にします。
この「問い」には、実際に疑問に思ったことや引っかかったことを設定すればすんなりと決められます。
答え:問いの「答え」を出す
「問い」が決まると、あとはその「答え」を次のように自分自身で導きだせばいいです。
- スピード感のある世界観を演出するためだった
- 最後の一文「勇者は、ひどく赤面した。」ときれいな対比にしたかった
- インパクトのある文を冒頭で出すことで、読者の興味を惹きつけたかった
軽く考えるだけでも、けっこう出てきます。しかし、これだけではまだ考えが浅い。
過程:「なぜ?」とその答えを繰り返す
さらにそれらに対して「なぜ?」という疑問をぶつけていきます。そして、それに答えていきます。
- なぜテンポのある世界観が演出される?
→簡潔な短い文を使用することで、小刻みなリズム感のある、スピード感のある文章になるのではないか。臨場感を出すために、そのような文体で工夫されているのだろう。 - なぜ最後の一文ときれいな対比にしたのか?
→主語がメロスから勇者になったことで、メロスが成長したことを強調したかったのではないか。 - なぜ惹きつけられるのか?
→最初、読者はメロスが激怒したわけを知らないまま読み進めることになる。そうすると、その理由が知りたくなって読み進めてしまうのだと思う。
まだこれでも浅いですが、さらに、
「なぜ?」→「答え」→「なぜ?」→「答え」→
と繰りかえすことで、最初の段階では思い浮かばなかったようなことを思いつくようになります。
説得力を持たせるには、ここが重要。考えれば考えるほど洗練された文章になります。
ポイント
一つの「問い」に対して、さまざまな方向からの「なぜ?」をくりかえすことで、鋭い洞察ができる
とりあえず、書く前にやるべきことはこれで終了。あとは浮かんだ考えを取捨選択、構成して書くだけです。構成の仕方については次の例文をどうぞ。
感想レポートの例
『走れメロス』を読んでの感想レポートの実例を以下で紹介します。
ただ、内容はそれっぽいことを書いているだけです。まぁ重要なのは論理的かってことなので、ニュアンスだけでも参考にしてください。
『走れメロス』の冒頭文にこめられた太宰の意図とは
太宰治の『走れメロス』を読みだすと、テンポのある文章に乗せられて、いつの間にか作品の世界観に没頭していた自分がいた。それはこの作品に読者を惹きつけるための技法が多くの文に用いられているからであろう。中でも特にこの作品で衝撃的だったのは、冒頭の「メロスは激怒した。」という短い一文である。この冒頭文にこめられた太宰の意図は何だろうか(問いを明らかにする)。以下で推測してみたい。
まず注目したいのが、始めの文を簡潔に短くした太宰の意図である(段落で話すことを冒頭で明らかにする)。一般的に簡潔な短い文を使用すると、小刻みなリズム感が生まれスピード感のある文章になる。現にメロスが親友を助けるために急いで走るシーンでその技法が使われており、作者はそれを意識して短い文を使っているのが見てとれる。
しかしながら、冒頭ではどうであろうか。メロスは走ってはいない。スピード感のある動きや焦りを表現しているわけではなさそうである。となれば、メロスが激怒していることに意識が向く。つまり、この短い一文は、メロスの感情の動いた速さを表しているのであろう。王の悪行を聞いたメロスの感情は一気に沸点に達したことがうかがえる。
このように太宰は、短い文を使って、文意だけでは読み取れないメロスの心情まで表現しようとしたのであろう(最後に段落のまとめ)。
次に注目したいのが、冒頭文は最後の一文「勇者はひどく赤面した」と対句になっている点である(段落全体で話すことを冒頭で明らかにする)。主語を比較すると、「メロス」が「勇者」に変わっている。ここでのポイントは、呼び方を変えたのが登場人物ではないということにある。呼び方を変えたのは語り手である。物語を俯瞰的に見ている語り手が呼び方を「勇者」に変えたということは、すなわち誰が見ても勇者と呼べるような人物にメロスがなったということを暗示しているようである。物語を通してメロスが成長したということを最後に伝えたかったのであろう。
また、述語は「激怒した」から「ひどく赤面した」になっている。ここで注目してほしいのは、この2語のギャップである。「激怒した」メロスの怖くて激しい一面と対照的に、「赤面した」という表現が、メロスの人間らしい柔らかな雰囲気を印象的にしている。すなわち、冒頭文は最後のメロスの人間らしい一面を強調する役割を担っていると言えよう。
このように冒頭文があることで、最後に伝えたいことが見えてきたり、最後の文が印象的に映ったりする。冒頭文には結び文の意味を強調する「前フリ」の役割があるのは間違いないであろう(最後に段落のまとめ) 。
以上のことから、走れメロスの冒頭文には太宰の2つの意図がこめられていることが推測できた(最後に全体のまとめ)。それは文の長さでメロスの心情を表現しようという意図と、結び文が強調されるようにしようという意図である。その他、冒頭部分を時系列通りに配置しなかった意図など考察できる部分はあったが、今回それらについて触れることができなかった。しかしその結果がどうであれ、「メロスは激怒した。」は人の心を鷲掴みにするために厳選された9文字であることに変わりないであろう。
どうでしょうか。
自分の思ったことや考えたことしか書いていないのに、典型的な読書感想文とはまったく印象が違いますよね。ちょっと論理的に書いただけで、こうも差がでます。
レポートとは本来こういうものです。
ただ実際は感想文というお題だし、もっと感情をいれたり自分の経験なんかを入れたりしてもいいのかもしれません。感想文って自由度が高いですから。
しかし今回は、論理的な感想文を書くというのがテーマだったので、ゴリゴリに書いてみました。批評文みたいになりましたが、このぐらいやってもいいと思うのです。大学生なんですから。
まとめ
本記事で言いたかったことをまとめます。
読書感想文のような文章から脱却するためには、「論理的に書く」という意識が必要です。そして論理的に書くための次の2つの方法を使ってみてください。
- 一つの「問い」を設定する
- 「なぜ?」をくりかえし、その答えを集める
これらはほかのレポートにも使えます。覚えておくと論理的な文章が書きやすくなります。
レポートにおける論理性とは|理由や経緯をくわしく書くことでレポートは論理的になる読書感想文的な文章が嫌いな教員はいても、論理的な文章が嫌いな教員は大学にいないはずです。
大学教授が書いている「論文」は論理的な文章の最たるものだからです。それに寄せて書いてるわけですから間違いありません。
ただし、レポートの評価の良し悪しは、担当教員の好みも多少入ってくるでしょう。ですから、必ずしも今回の書き方で良い評価がとれるという保証はできません。
論理的な文章を書いて、みなさんが良い評価をもらえることを願っています。