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実は、レポートの結論には型があります。
と聞くと、結論を書くことというのは案外容易なように思われますが、そうとも限りません。その型は、レポートの分野あるいはお題によって多少異なるからです。ゆえに、
「この型で書かれよ!」
「この型で書かれたら間違いなし!」
などと断言しにくいのです。
とはいえ案ずることなかれ。型のみを学ぼうとするのではなく、結論の本質をつかもうとすれば、細やかな違いに対処できるようになると思います。
そこで本記事では、レポートを書きなれていない方向けに、
- そもそも結論とはどのようなものなのか
- どのぐらいの分量が目安なのだろうか
- どこに気をつけて書けばよいのだろうか
というような疑問にどしどし答えていくことといたします。
目次
結論の分量は10~15%
ご存じの通り、レポートは「序論」「本論」「結論」からなります。それぞれの分量の目安はご覧の通りです。
- 序論
→分量は全体の10~15%程度 - 本論
→分量は全体の70~80%程度 - 結論
→分量は全体の10~15%程度
結論の分量は全体の10%〜15%であることが望ましいと言われています。
しかし、これはあくまでも目安でありまして、絶対的な法ではありません。場合によっては守る必要のないものです。
仮に、以下のように結論に書き連ねたとします。
- 内容のないことをあれやこれやと並べ立てる
- 同じようなことを何度も何度も繰り返し述べる
これで本当に結論としての役割を果たせるでしょうか。いや、果たせていないでしょう。「必ずや10%は書かねばならぬ!」と鼻息を荒立てるのは無駄なことなのです。
ここまでの話で気づかれた方もいらっしゃると思いますが、結論で最も意識するべきところは分量なぞでは決してありません。なにを述べるかが肝要です。
というわけで、ここからわたくしの話題は、分量の話から内容の話に移ってゆきます。
結論の役割
さて、結論の内容について話すまえに、考えておきたいことがあります。
それは、「結論はなぜ必要なのか」ということです。結論の目的はなんでしょうか。
いきなり何を言い出したのかと不思議にお思いになられるかもしれません。
「はやくテクニックを教えろ」
「テンプレートを先にだせ」
とヤジが聞こえてきますが、少し落ち着いてください。
ガチガチに書き方を教わっても、すこしお題や構成が変わるだけでうまく書けなくなってしまいます。だからテクニックやテンプレートよりも先に役割を知ることが肝心です。
役割を知ると結論で何を書くべきかが見えてきます。そうなればフレキシブルに対応できるものです。
したがって少々わたしのお話にお付き合いください。
結論の役割は二つに大別されるとわたくしは考えます。
まず第一に、
第一の役割
長い話(本論)を短くまとめ、言いたいことを再度言うことで強調する
がございます。
実際に書き物を読んでいて、
「とどのつまり、言いたいことはなんぞや」
と思った経験はございませんか。イラついたあげく、読んでる文章に唾を吐きかけたという方もいらっしゃるでしょう。手塩にかけて育てた文章が唾液まみれになるのを避けるためにも、結論は要ります。
くわえて第二に、
第二の役割
全体を通してでないと話せない内容について述べる
がございます。
この役割の必要性は説明するまでもないでしょう。本論では話せない内容が、結論に行き着いてしまうのは当然のことであります。
以上のように、レポートの結論は役割があります。この役割を意識して、以下ご覧ください。
結論の内容
結論の役割から考えますと、結論の内容としてふさわしいものはご覧のようになりましょう。
- 目的
何を目的に、どのような根拠、どのような観点で、どのように論を展開したのか簡潔に述べる - 主張の要約
本論で導いた結論を再度述べて強調する - 自己評価や展望
どうすればさらに説得力が増したか、述べていない論点はなかったかというように自論の弱点を反省する
無論、レポートの種類や性質、分量によっては、これらが不要なものも存在します。
例えば、
- 情報の整理や分析が主体のレポート
- 「〇〇についてまとめなさい」のレポート
などでは、自論を主張することはありません。自論を述べないわけですから、もちろん自論を自己評価することもないでしょう。
なにもわたしは「これらすべてを必ず書かかれよ」と申しているのではありません。
むしろ肝心なのは、書いてはならぬことのほうです。目的、主張の要約、自己評価や展望、これら以外のことについて断じて書いてはならぬと言いたいのです。
このことについては次で詳しく話すことにしましょう。
結論における2つの禁忌
ここでは、「結論にて断じて書いてはならぬこと」について述べることといたします。
書きなれていない方は、とかく結論の役割にそっていない内容をあーだこーだと書き連ねてしまいがちです。かくしてレポートの論理性や客観性を自ら落とすことになるのは言うにおよびません。
そうならないためにも、とりわけ次の2点を守られるとよろしい。
- 個人的な要望・感想を書いてはいけない
- 主張を加えてはいけない
以下、詳しく説明いたします。
レポートの最後にて、
「このレポートを通して〇〇ということを学んだ」
「これを機に~したい」
などと自分の個人的な要望や感想を述べるのは好ましくありません。学術的な文章に感情的な要素はいらないからです。
最後に君子ぶって締めくくってしまうのは、もっぱら読書感想文の弊害でしょう。大学ではそれらすべて忘れ去ってしまわれて構いません。
くわえて、
「留年しそうなので単位をください」
と書くのはもってのほかです。
再度いいますが、自分の個人的な要望を述べるのは好ましくありません。評価を下げる行為です。
留年しそうであれば、レポートの質を高めることに専念したほうが評価があがるのではないでしょうか。
とにもかくにも、あまりに主張と関係のないことをねじ込まなければよろしい。
ただし、ここで気を付けたいのが、本論ではしていなかった主張を結論で新たにくわえてしまうことです。
結論を述べてゆく中で、
- 本論で導いていない主張
- 本論以上の主張
のような主張を思いつくこともあるでしょう。それらはあたかも本論から導いた主張のような顔をして近づいてきますが、騙されてはなりません。
先にも述べたように、結論は本論での要点を再確認するためにあります。本論で導いた答えと異なる主張をしまっては、結論の意味がありません。
主張を加えたい場合、加筆しなければならないのは本論です。結論ではありません。
結論の正しさは重要ではない
レポートでは結論の正しさに、さほどこだわる必要ありません。
もちろん学術雑誌に掲載されるような論文では、自分の論の正しさを吟味する必要があるでしょう。
しかしながら、それは、
- 長年の経験
- 確かな専門性
を備えた専門家にしか成しえない技です。
考えてごらんなさい。元来、レポートのお題となるものは、死刑制度や安楽死の問題のように、やすやすと答えられないものばかりでしょう。
世の中の問題は複雑に絡み合って難解だからこそ、学者が時間をかけて研究しているわけです。
正しい答えなぞ、A4用紙一二枚のみで導き出せはしません。学生が正しさを追求すること、それ自体が難しいことなのです。
ゆえに、わたくしはこのように結論づけます。
答えよりも大事なもの、それは答えまでの過程である。
過程を大事にすれば説得力が増します。
レポートは論文を書くための稽古のようなものです。論理性・客観性を意識しつつ、文章力を鍛えるというところにレポートを書く意味を見いだされたらよろしい。
判然たる答えを用意する
先ほど述べたように、レポートのお題は、複雑で、難解で、専門的な問題がテーマとなります。単純に白黒つけられない問題もありましょう。
こういう問題に直面した際、レポートに不慣れな人はとかく、ぼんやりとした答えに到達しがちであります。
「明確な答えが見つからなかった」
「どちらが正しいとは言えない」
というように。
理路整然と導き出した結果そうなったのであれば、それはそれで一つの解を得たことになりましょう。その解は間違いではありません。
がしかし、その解をそのまま結論とするなかれ。
解が曖昧すぎます。もっとはっきりさせたほうがいい。
明快な解にするために大事なのは条件を付けることです。以下、ごく簡単に例を挙げることとしましょう。
「(主張)である。ただし〇〇の場合は例外である。」
「〇〇の場合は(主張)である。〇〇の場合は (主張)である。 」
解がはっきりさせるには、高校数学のようにそれらを場合分けすればよいのです。答えが曖昧になるのは、解が複数あることが原因でしょうから。
こういう「場合分けをもって解を明瞭とする」という考え方は、なにも結論ばかりの話ではございません。レポートの論理を組み立てる上でも重要なことですので、しかと心得ておくように。
結論のテンプレート
何事も上達は真似からです。
以下から使えそうな文を取り入れれば、レポートらしい表現にぐっと近づきましょう。
- 目的
「本論では~することを目的に~について論じた」 - 主張の要約
「その結果、~が考えられる。特に〇〇においては~」 - 自己評価・展望
「しかしながら、~については明らかにできなかった。 今後の課題としたい」
結論の言いまわしをさらに知りたい方は、レポートにおける最後の締め方|締めの言葉と言いまわしをいくつか紹介するをご覧ください。
まとめ
先にも述べたように、レポートは分野や種類によって書き方はさまざまです。
本記事に記したこと全部が、貴方のレポートに当てはまるわけではございません。当然、例外もあるでしょう。
しかしながら、どの結論も本質は同じです。
- 長い話(本論)を短くまとめ、言いたいことを再度言うことで強調する
- 全体を通してでないと話せない内容について述べる
という役割は変わりません。
このように締めくくると、文章において肝要なのはやはり、型の本質を理解することのように思われます。人の教えを妄信するのではなく、一文ごとに「これは書く必要があるのか」と吟味することを忘れてはなりません。
レポートにおける最後の締め方|締めの言葉と言いまわしをいくつか紹介する