レポートを上手く書くならこの本がおすすめ

間接引用の書き方|間接引用はただの「要約」ではないことを解説する

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レポート・論文を書くときの基本中の基本をこちらの記事で話しました。

引用なしのレポートではダメな理由|参考文献リストを書いただけで満足してはいけない

この記事の内容を知ってる前提で説明していきます。読んでないという人は先に読んでおいてほしい。

では、本題です。本記事では以下の悩みを解決します。

  • 間接引用とは何なのか
  • どんなときに間接引用は使うのか
  • とにかく間接引用のうまく使えるようになりたい

間接引用は、レポートや論文では必要不可欠です。しかし、

「間接引用?なにそれ?」

と、なにも知らずにレポートや論文を書いている人も多い。そんな人には、

「それはまずいよ…今すぐ使えるようになってくれ!」

と言いたい。そのくらい重要。なぜなら、間接引用がうまく使えないと、剽窃、つまり犯罪になってしまうからです。

レベルの低いレポート・論文から脱却するためにも「間接引用」を使えるようになってください。

結論

間接引用は、自分の言葉で他人の意見を言いたいときに使う。そして、使うときは一言一句、自分の言葉で言いかえることが求められる。

※本記事では実際の論文を例文として使用しています。孫引き(引用文の引用)をしているので、レポートを書く際はマネをしないように。また、文献注の書き方を統一するために、原文の文献注を一部書き直しています。

間接引用とは

まず引用の種類から。

引用は2種類あります。直接引用と間接引用です。

直接引用と間接引用の違い

  • 直接引用(≒引用)
    他者の文章の一部もしくは全体を “そのまま” 「抜粋する」引用のこと。「 」を使って引用をする。
  • 間接引用(≒参照参考)
    他者の文章を自分の言葉で「まとめる」引用のこと。「 」を使わないで引用をする。

つまり、自分の言葉で他人の意見を言いたいときに間接引用を使います。

間接引用と参照と参考

次のように比較するとき、

「直接引用」と「間接引用」
 「引用」 と 「参照」
 「引用」 と 「参考」

「間接引用」と「参照」と「参考」はどれも同じものだと思っていい。レポートの中に参照したり、参考にしたりした箇所があるのなら、間接引用をすることになるため。

曲解してはいけない

「自分の言葉で他人の意見を述べるのが間接引用」

とは言っても、原則は直接引用といっしょ。著者のイイタイコトをねじまげて解釈するのはいけません。 ”表現だけ” 変えるのが鉄則です。

間接引用は要約ではない

また、中途半端に一部だけ言葉を言い換えてはいけません。

「直接引用っぽいのに「 」をつけてないじゃないか。」

となってしまいますから。間接引用をするのなら徹底的に言葉を変換します(くわしくは後述します)。

直接引用と間接引用を使い分ける

間接引用をつかうのは、

  • 「引用したい部分が長すぎるな…(4行以上)」
  • 「そのまま引用すると、レポートの文脈と合わなくて読みにくくなるな…」

というとき。

何のために引用しているのか、文脈的に読みやすい引用はどちらなのか、引用する場面によって使い分けます。

直接引用ばかり使ってはいけない

また、レポートを書きなれていない人の中には、

「引用といったら直接引用!」

という感じで、直接引用を使いまくっている人もいるはず。もちろん、レポートに “自分らしさ” があるのならそれでいいです(自分らしさとは自分なりの解釈・意見)。

しかし、それが他人の文章をつなぎ合わせただけのレポートなら価値はありません。あなたが書く意味がないからです。

文章にオリジナリティを出すためにも、

  • 引用のあとに自分なりの解釈をする
  • 間接引用を使う

ということが重要です。

ちなみに優秀な卒論では、間接引用が多く使われているようです(矢野 2014: 69-70)。


間接引用の例

間接引用を使うのは、

  • 他の文献の内容をまとめて述べるとき
  • 文献の存在を提示するとき

この2パターンです。具体的な例を使って紹介します。

他の文献の内容をまとめて述べるとき

著者にフォーカスしているとき
〔著者〕は ~ と指摘している。
〔著者〕によると、~ という / ~ である。
〔著者]は ~(こと)を明らかにした。
〔著者]は ~ の可能性を示唆している。
(二通 2009: 71)より作成
事柄にフォーカスしているとき
~ と指摘されている。
~ という意見がある。
~(こと)が明らかになった。
~ の可能性が示唆されている。
(二通 2009: 71)より作成

文献の存在の提示するとき

著者にフォーカスしているとき
~については〔著者〕の研究がある。
〔著者〕の手法を用いて実験を行った。
(二通 2009: 71)より作成
事柄にフォーカスしているとき
~についての研究が行われている。
~法を用いて実験を行った。
(二通 2009: 71)より作成

間接引用の書き方と注意点については、以下でくわしく紹介します。

間接引用の書き方と注意点

本サイトでは何度も何度も言っていますが、レポートや論文では、

「自分の意見」と「他人の意見」を区別する

という大原則があります。

これは間接引用をするときに、とくに気を付けないといけません。「 」がないぶん、自分の意見と他人の意見がごっちゃになる人が多いので。

そこで、間接引用をするときは、以下の2つが重要です。

  • 文献注を必ずつける
  • 引用箇所をはっきりとさせる

これからくわしく解説します。

文中の文献注(参考文献)のつけ方

引用をするときは、必ずどこの文献から引用したのかを明記します。文献を明記するのは、次の2か所です。

  • 文献注
    →本文中に書く(引用をしたすぐあと)
  • 参考文献リスト
    →本文が終わったあとに、参考・引用した文献をまとめて書く

参考文献リストについては他の記事で解説しているので、そちらをどうぞ。

文献注のつけ方はつぎの2通りです。

研究者名のあとに文献注をつけるタイプ

二通(2009)は、 ~ と述べている。

言及したあとに文献注をつけるタイプ

二通は、~ と述べている(二通 2009)

どちらを選んでもOKです。ただし、ひとつのレポート・論文ではどちらかに統一しないといけません。

文献注についてくわしく知りたい方は、こちらをどうぞ。

文中における引用表示|引用したあとの参考文献の書き方を解説する

引用箇所をはっきりとさせる表現

引用箇所がはっきりしていない文章というのは、どんな文章なのか。例をあげてみます。

悪い例

冒頭の〔著者〕によると ~ があることによって、 ”ここから” が引用だということ分かります。しかし、”どこまで” が引用なのかわかりません。

このような場合は、「述語」を使ってどこまでが引用なのかをはっきりさせます。

良い例

どれが誰の意見なのかはっきりと分かりますよね。

ちなみに、動詞で他者の意見だとはっきりとさせるには、

  • 動詞に「~ている」をつける
  • 受け身の動詞を使う

この2つを使うといいです(清水 2010)。

例をあげておきます。

引用文の文末表現
~ と指摘している
~ と定義される
~ と述べられている
~ ことを挙げている

間接引用と要約の違い

さきほど、直接引用と比較するために簡単に説明するために、

間接引用は、他者の文章を自分の言葉で「まとめる」こと

と言いました。

「ようは、要約すればいいんでしょ」

と思っている人もいるかもしれませんが、レポートや論文において、それは間違いです(中村(2018)も指摘している)。

実のところ間接引用は要約よりも難しい。

要約と違うところ1:原文を切り貼りしてはいけない

では、要約とちがうのはどこなのか。それは、

間接引用をするとき、徹底的に言葉を変換しなくてはならない。原文に使われている「単語」や「構成」をそのまま使ってはいけない。

というところ。原文の一部をいくつか切り抜いて貼り合わせただけだと、

「直接引用をしているのに「 」をつけてないじゃないか!」

と思われてしまいますから。

間接引用をするのなら徹底的に言葉を変換します。原文の跡形を残してはいけません。原文の一部が残っていると、剽窃(ひょうせつ)となります。

剽窃(ひょうせつ)とは

剽窃とは、人の文章を盗んで使うこと。レポートや論文では剽窃を避けないといけない。

要約と違うところ2:引用文を文脈になじませる

間接引用をするときは、

原文の核となる意味は変えないよう気を付けつつも、文脈にあった表現をする

ということを心がけないといけません。

他人の意見をむりやり自分の文章にねじ込んだだけだと、

「なにを主張するために引用したの?」
「この引用のどこを伝えようと思ったの?」

というように、引用の目的・意図がはっきりしなくなります。

引用部分が浮かないようにするためにも、自分の言葉で表現する必要があるのです。けっこう難しいんです、間接引用って。

間接引用のやり方

間接引用の「やり方」というのがあるのはある。それは、一度、原文を読んだあと、

原文を見ないで文章をまとめる

という方法です。原文を見ながら要約すると、どうしてもつられて同じような表現を使ってしまう人、多いでしょ?

自分の言葉で書けたら、最後に自分の書いた内容が適切なのか原文をみてチェックします。


間接引用の定義については、こちらが参考になります。

間接引用のやり方については、こちらが参考になります。

まとめ:積極的に間接引用を使おう

本記事で、間接引用の難しさが分かったはずです。それと同時に、

「間接引用ってめんどくさっ」

と思った人も多いでしょう。わかります。

しかし、直接引用ばかりの文章は、良いレポート・論文とは言えません。他人の文章を継ぎ合わせただけの文章になってしまうからです。

間接引用を使うことで自分らしい文章が書けて、そこに書き手の個性が出るのです。積極的に使ってください。

結論

間接引用は、自分の言葉で他人の意見を言いたいときに使う。そして、使うときは一言一句、自分の言葉で言いかえることが求められる。